ロコモ予防のための骨量維持方法
ロコモティブシンドロームは運動器官の機能低下ですから、ロコモを予防するためには運動器官をケアしなければなりません。
骨・関節・筋肉ですね。
それに加えて、運動器官にかかる負担を減らすための体重のケアが必要になります。
骨のケアの内容としては骨量の維持が主ですが、これがけっこう難しいんですよね・・・。
目次
骨折はロコモ症候群の大きな要因
日常生活の支障など、極端な運動不足の状態を作ってしまうわかりやすい例が「骨折」です。
骨折をすると著しく運動機能が低下します。
足や腕などを骨折すると日常生活にも支障が出ます。
指1本であっても、普段どおりの生活を続けることが難しいことが多々ありますよね。
また、大腿骨頚部骨折(=足の付け根の骨折)の場合は、立つことも難しくなり寝たきりになってなってしまいます。
まとめると
骨折 → 運動不足 → ロコモのリスク増
ということです。
骨折だけが全てではありませんが、骨折はロコモの大きな要因として考えられます。
骨折を防ぐためのポイントのひとつが「骨量」
骨折を防ぐためには、どうしたらよいのでしょうか。
ひとつは「骨を丈夫する」こと。
これは非常にわかりやすいですね。
骨量や骨密度を増やせば骨が丈夫になり、骨折することも減るでしょう。
もうひとつは「転倒しない」こと。
骨折の主な要因が転倒です。
転倒しなければ骨折することも少ないのです。
転倒しないためには筋肉や関節の働きが重要になってきます。
歩行中などのバランスを取る働きが低下してくると、転倒する可能性が増えてしまいます。
つまり、骨折を防ぐためには、骨だけでなく筋肉や関節など、運動器官の総合的な機能が必要になるのです。
この記事では特に「骨」のケアに関して、書いていきます。
年を取ってから骨量を増やすのは難しい
ロコモ予防として、骨の量や質を改善しなければなりません。
骨も絶えず代謝を繰り返して新しい骨が作られていますが、よほど特別なケアをしない限り、年を取ってから骨量を増やすのは難しいです。
筋肉は減るのも早い分、トレーニングをすれば増えるのも早いのですが、骨や関節の軟骨はそう簡単には増えません。
だからと言って諦めてしまってはロコモの進行を早めてしまいます。
できるだけ骨量を維持していくために、30代・40代から意識して生活をすることが大切です。
骨量を維持していくポイントをまとめます。
骨を作るための栄養を摂る!
骨量を増やすためには、骨を作る栄養素の摂取が必要不可欠です。
しかし、普段の食生活ではなかなか十分な量を摂取できません。
骨を作る栄養素というとカルシウムですね。
ところが、日本はアメリカに比べてカルシウムの摂取量が少ないと言われています。
また、カルシウムはそれだけだと吸収されにくい栄養素です。
カルシウムの吸収を助けるビタミンDやビタミンKなども併せて摂取する必要があります。
ビタミンDはサケ・サンマなどの魚類やきのこ類、ビタミンKは納豆などに多く含まれています。
牛乳や乳製品のカルシウムは吸収されやすいとも言われますが、カルシウムだけでなくビタミンも摂らなければなりません。
骨量維持にはタンパク質も欠かせない
骨はカルシウムの他にも多くのタンパク質で作られています。
タンパク質の不足も骨量減少や骨粗しょう症の原因になりますので注意が必要です。
急激なダイエットでタンパク質が不足して血糖値が下がると、筋肉や骨のタンパク質を切り崩して血糖値を保とうとします。
その結果、筋肉や骨の量の低下を招くので、ロコモの要因になりかねません。
骨まで細くなるようなダイエットは禁物です。
ホルモンの働きで骨量が変わる!
骨量維持をするためには、骨の形成を促さなければなりません。
そのために必要なのが成長ホルモンの働きです。
十分な栄養素を摂るだけでなく、それを活かすためにも成長ホルモンの働きが必要なのです。
「寝る子は育つ」というぐらいですから、成長ホルモンは寝ている間に働きます。
つまり、睡眠を取ることが大切なのです。
しかし、ただ寝ればいいというわけではなく、質の良い睡眠を取らなければなりません。
質の良い睡眠というのは、簡単な言い方をすればリラックスした状態での睡眠ですね。
女性ホルモンが骨量に大きく関わっている
また、女性の場合は閉経後に女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少します。
これは骨粗しょう症の大きな原因の1つです。
エストロゲンは骨のカルシウムが減るのを防ぐ働きがあります。
ですから、エストロゲンが減ることで骨密度が著しく低下します。
その結果、骨粗しょう症や骨折を招き、ロコモの原因となり得るのです。
しかし、これは抗うことができません。
その分、カルシウムの摂取や睡眠などでカバーしなければならないのです。
適度なメカニカルストレスで骨を鍛える!
メカニカルストレスとは運動器官にかかる負荷のことです。
筋肉や関節と同様に骨にも適度なメカニカルストレスが欠かせません。
簡単に言うと、骨も使っていないと劣化するということです。
たとえば、骨は硬いだけのように思いますがしなやかさも備えています。
骨に力を加えて「この骨はこれぐらいゆがむ必要があるんだ」ということを体がわかれば、ゆがむ必要の分だけしなやかな骨を作ろうとします。
それが繰り返されることで、強く丈夫な骨が作られていくのです。
しかし、あくまでも骨ですから、無理に力を加えようとすると当然折れます。
適度なメカニカルストレスを心がけましょう。
日常生活においては、立つとか歩くとかそれだけでも十分です。
少し運動不足だなという場合は、それに加えて簡単なトレーニング(階段の昇降など)もやるのが良いですね。
過度な負荷をかけるのは禁物です。
骨を鍛えるために骨折して動けなくなってしまったら元も子もありません。
ストレスをかけないと運動器官は弱っていく
適度なメカニカルストレスは非常に有効です。
逆に、まったくストレスのかかっていない状態が続くことが怖いんですよね。
骨が弱って骨折したときというのはまさにその状態です。
しばらくその部位にはストレスをかけることができなくなります。
極端な例としては、大腿骨頚部骨折です。
これは足の付け根の骨の骨折ですが、こうなってしまうと歩くどころか立つこともできません。
「立つ」という動作をしている時点で、自分の体重を支えていますから足には適度な負荷がかかっています。
寝たきりや車椅子に乗った状態だとその負荷がなくなります。
骨だけでなく筋肉や関節も弱ってしまう一方です。
身近な例ではありませんが、宇宙飛行士の話を聞いたことがあるかと思います。
宇宙空間では重力がかからないため、メカニカルストレスがなくなり足腰がどんどん弱っていきます。
足腰だけではありません。
普段、私たちが何気なく行っている「物を持つ」という動作も同じくです。
宇宙空間では物の重力もありませんから、腕に負荷がかかりません。
つまり、宇宙空間にいると全身の運動器官の機能が低下していってしまうのです。
もちろんそうならないために、事前に訓練をしたり宇宙空間でもトレーニングをしたりしているわけです。
骨のケアは時間がかかるので早めに!
以上のように、骨量維持のためのポイントは栄養・睡眠・運動です。
骨に限らず、全ての運動器官にもいえることですね。
女性の場合は特にケアをしてください。
骨粗しょう症のほとんどが中高年の女性です。
30代ぐらいだと「まだ、大丈夫」というよりむしろ骨のことを考えることもあまりないと思います。
「筋力が落ちたな~」と思うことはあっても骨の機能低下はあまり感じませんからね。
しかし、筋肉と違って骨を鍛えるのには時間がかかります。
その上、成長ホルモンや女性ホルモンの減少で骨密度が急速に減ることがあります。
大きな骨折をしてしまう前にできる限りのケアをするように心がけてください。