ロコモティブシンドロームのチェック方法!
ロコモティブシンドロームという言葉を知ってどんなものがわかると、次に気になるのは
「私ってロコモティブシンドロームなの?」
ということですね。
ロコモは重症になると寝たきりの状態になってしまいます。
しかし、もちろんそれだけがロコモではありません。
ロコモ予備軍も含めると、日本の4700万人もの人がロコモの可能性があり得ると言われています。
大きな症状が出ていなくてもこれからロコモが進行するおそれもあります。
早めにチェックをして予防策を考えていくことが大切です。
そこで、接骨院に行かなくとも日常生活の中でできるロコモティブシンドロームのチェック方法を紹介します。
ひとつでも該当する項目があれば、ロコモである、あるいはロコモになり得る可能性があると判断できます。
また、今の段階では症状として顕在化していなくとも、以下の項目に注意しつつ日々の生活を送っていただければと思います!
目次
日常生活のロコモティブシンドロームチェック項目
ロコモティブシンドロームの概念を発表した日本整形外科学会がロコモティブシンドロームのチェックをするための「ロコチェック」というものを作ってくれています。
日本整形外科学会が運営している「ロコモチャレンジ!」というサイトの中(https://locomo-joa.jp/check/lococheck/)にも書いてあるのですが、日常生活の中で以下の7項目をチェックするものです。
あくまでも日常生活を思い出してこれらの症状が出ていないかを確認するためのものです。
チェックするためにわざわざ危険なことは絶対にしないでください。
- 片足立ちで靴下が履けない
- 家の中でつまずいたり滑ったりする
- 階段を上るのに手すりが必要である
- 家のやや重い仕事が困難である
- 2kgの重い買い物をして持ち帰るのが困難である
- 15分くらい続けて歩くことができない
- 横断歩道を青信号で渡りきれない
高齢者の方ですと、いずれかのチェック項目に該当する可能性が高いですね。
その場合は、ロコモ予備軍あるいはロコモであると判断ができます。
放っておくとどんどんロコモが進んでしまいますので、進行を遅らせるためにも何らかの対策を取らなければなりません。
しかし、30代・40代の方ですと、どのチェック項目にも該当しないことの方が多いかもしれません。
だからと言って油断してはいけません。
痛みなどの症状が顕在化していなくても、筋力や骨量の低下・関節の変性などの可能性はあります。
運動器官の機能が低下しないようにロコモ予防を心がけることが大切です。
また、以下に各チェック項目について少し説明を付け加えますので、そちらも参照してみてください。
ロコモチェック1:片足立ちで靴下が履けない
物が倒れないようにするためには、支えている面の真上に重心を保っていなければなりません。
四足動物の場合は、その四点が作る面の真上です。
人間の場合は二足で直立しますので、その二点が作るやや幅のある直線の真上です。
しかし、片足立ちの場合は、一点(正確には足の面積分)の真上に重心を保っていなければ倒れてしまいます。
つまり、片足立ちというのは重心のコントロールなどのバランス感覚が必要になります。
重心をコントロールするためには、細かい筋肉の働きやしなやかな関節の働きなど運動器官の機能が欠かせません。
その上、「靴下を履く」となるとさらに動きが複雑になりますね。
片足立ちで靴下を履くというのは、バランス感覚に関する運動器官の機能をチェックするのに有効な手法です。
ロコモチェック2:家の中でつまずいたり滑ったりする
近年、高齢者の住む住宅では、段差の小さい構造が多くなっていますね。
玄関や階段のようなわかりやすい段差だけではなく、部屋や浴室の境目などです。
私の家の玄関も完全にフラットになっています。
それでも、家の中には襖の溝など細かい段差はどうしても残っていますね。
高齢者に限らず、加齢によってそういった段差でつまずく機会が増えていないかどうかというチェックが必要です。
もちろん、つまずくというのは家の中だけに限ったことではありません。
「つまずく」ということは「自分が思っている以上に足が上がっていない」ということでもあります。
足を動かす筋肉の働き、関節の曲がる角度、あるいはその情報を伝える神経の伝達速度など・・・。
ちょっとした動きですが、運動器官をフルに使っていることがわかります。
段差につまずくだけでなく、いわゆる「タンスの角に足をぶつける」というのもこれに近いものがあるかもしれません。
また、フローリングの住宅も増えていますが、そこで「滑る」というのもまた運動器官の機能低下に起因するものです。
筋肉を使っての足腰の踏ん張りや、足をまっすぐ下ろすなどの動きができなくなってくると滑りやすくなりますね。
「つまずく」「滑る」の他にも併せてチェックしておきたいのが、つまずいたあとの体の動きですね。
運動器官の機能が低下すると、つまずいた後に素早く体勢を整えて転ばないようにするのも難しくなってきます。
ロコモチェック3:階段を上るのに手すりが必要である
これは非常にわかりやすいチェック項目ですね。
手すりを使わないと階段を上れないというのは、明らかに運動器官の機能が低下している証拠です。
チェック1でも書きました「片足立ち」の状態でさらに重心を移動させながら、大きく足を動かす必要もあります。
手すりを使うということは重心を支える面が大きくなるので、「片足立ち」の状態で倒れるリスクが大幅に減ります。
また、階段を上るという運動は、徐々に重心をコントロールするための筋肉の働きの他にも、階段の形状に合わせた関節の働きも非常に重要になってきます。
股間の関節、膝の関節、足首の関節などを直角に曲げたり伸ばしたりの繰り返しです。
さらに、逆に階段を下りるときは使う筋肉の場所も変わってきますし、より重心のコントロールが難しくなってきます。
ロコモチェック4:家のやや重い仕事が困難である
日本整形外科学会が運営しているサイト「ロコモチャレンジ!」では、例として「掃除機を使う」「布団の上げ下げ」が挙げられています。
他にも考えられる例としては、「ほうきなどの掃き掃除」「ゴミなどの持ち運び」「水回りの掃除」などでしょうか。
20代、30代のころは難なくできていた家事が、40代、50代になり少し辛くなってきたな、ということはないでしょうか。
家のやや重い仕事=足や腰に負担がかかる仕事というのは、
- 前かがみになる
- 重いものを上下する
このどちらかであることが多いです。
テレビや机などの持ち運びはロコモでなくても辛いので、ここでは関係ありません。
前かがみになるということは、腰を曲げた状態が続きます。
すると当然、腰の関節に負担がかかるわけです。
また、それに伴って重心が前に寄るので、前に倒れないように足の筋肉や膝の関節に負担がかかります。
ロコモチェック5:2kgの重い買い物をして持ち帰るのが困難である
2kgの買い物は、およそ牛乳パック2つ分ぐらいです。
手で持ち運ぶわけですが、結局その重さは地面との接地部位である足にかかるわけです。
つまり、重い買い物は膝の関節への負担に繋がります。
前の項目の、重いものを上下するのも同じですね。
重いものを持って支えるということは、膝への負担をかけるということなんです。
この項目のポイントは、実はそれだけではありません。
目に見えて重いものを持つというのはわかりやすいですが、自分自身の体重の増加も同じです。
体重が増えればそれだけ足や腰への負担が大きくなります。
極端な例ですが、お相撲さんは膝を痛めないために下半身の筋肉を相当鍛えています。
しかも、ときに200kg近い相手が体当たりしてきても倒れないわけですから、よっぽど足腰を鍛えているのだろうとわかります。
それでもやはりあの巨体ですから、膝を痛めてしまうことが多いのです。
ロコモティブシンドロームは運動器官の機能低下なので、骨・関節・筋肉のケアが必要です。
それと同時に体重のケアも考えておかなければなりません。
ロコモチェック6:15分くらい続けて歩くことができない
これは少し分かりづらいですね。
ロコモティブシンドロームだけが原因ではありません。
運動器官の機能低下の他にも循環器や呼吸器などの疾患が原因となっていることもあります。
ですから、なぜ15分歩けないのかも併せてチェックする必要があります。
足がしびれたり痛くなったりする脊柱管狭窄症はロコモティブシンドロームとして見られる症状といえるでしょう。
これは、背骨の椎間板が変性して、背骨の中の脊髄の通り道=脊柱管が狭くなると起きます。
脊柱管が狭くなると脊髄が圧迫されて、手や足への情報伝達がうまくいかなくなります。
すると、手や足がしびれたり痛くなったりするわけです。
脊柱管狭窄症の場合、前かがみになることで脊柱管の圧迫が避けられます。
高齢者の方で歩行補助車があれば長時間歩けるというのはこのためです。
また、動悸や息切れなどは、循環器や呼吸器が原因でしょう。
足のしびれなどを伴うものとして閉塞性動脈硬化症というものがあります。
これは下半身の動脈硬化に起因して、血流が悪くなって起きます。
血流が悪くなると足の筋肉へ十分な酸素が供給されなくなり、しびれなどを感じる疾患です。
症状によっては病院で看てもらった方が良い場合もあります。
ロコモチェック7:横断歩道を青信号で渡りきれない
青信号の時間がどうやって決められているのかわかりませんが・・・。
おそらく一般的な歩行速度で渡りきれる時間になっているのかと思います。
極端に短いと思うところもありますけどね。
横断歩道を青信号で渡りきれないということは、歩行速度が遅くなっているからです。
では、歩行速度が遅くなっている原因を考えてみます。
大きなところでは2つ
- 足を速く動かすことができない → 筋力の低下
- 歩幅が小さい → 筋力・関節機能の低下
この2つが主な原因です。
そして、この2つは筋力の低下に起因していますが、他の言い方をすると「バランス感覚の低下」でもあります。
速く動いたり歩幅を大きくしたりすると、重心が頻繁に動くことになります。
つまり、それだけ倒れやすくなるわけです。
筋力が低下している故に、倒れないためにバランスを取りやすい動きを自然にしています。
重心があまり頻繁に動かないような歩き方ですね。
その結果、歩行速度が遅くなり横断歩道を青信号で渡りきれなくなってしまっているのです。
例えば、歩幅を小さくすることで歩行中に片足立ちになるの時間を短くしている、などですね。
注意していただきたいのですが、ここで言いたいのは「もっと速く歩きましょう」ということではありません。
あくまでも「渡りきれないのは運動機能の低下=ロコモのサインだからケアが必要です」ということです。