膝痛に関するポリ硫酸ペントサンナトリウムの話

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「変形性関節症の突破口治療で、あなたの腰と膝の取り換え手術を見送る事ができるかも」という記事を目にしました。
オーストラリアで最も発行部数が多く人気のある新聞ヘラルドサンの健康に関するページです。
冒頭には、「高コレステロール剤に次ぐ大ヒット(薬・治療)となると言われている」とも。

300万人以上が膝痛に苦しんでいるオーストラリア

今や世界中で問題となっている肥満、メタボ現象の中でもオーストラリアと言えば、太りすぎで救急車に人が乗らず、肥満の人用の特大サイズの救急車まで登場しているといった、実質的な問題まで先行している国です。

肥満・メタボが原因の膝痛の人も沢山いそうです。
実際オーストラリアでは、変形性関節症により膝が不自由になった、国を代表するようなスポーツ界のスター達を含んだ300万人以上の人々が膝痛に苦しんでいるそうです。

ペントサンポリ硫酸塩

ヨーロッパでは主に抗血液凝固剤として、アメリカ合衆国では女性の尿路感染症の治療として70年も使われていて、そのペントサンポリ硫酸塩が変形関節症の痛みをなくしたり、減らしたりもするとのことです。

ペントサンは植物成分由来の化合物

ペントサンは、植物成分由来の化合物で、ブナ(ヨーロッパ)から抽出された多糖類に化学的修飾が加えられたものだそうです。
変形性関節症への適応としては、既に動物に骨関節炎治療薬として使用されていて、人に対しては、豪州や長崎の大学で実施された臨床研究で有用性が示唆されています。

ペントサンポリ硫酸塩の臨床実験

オーストラリアのパースや長崎大学での臨床実験によると、関節内PPS注射後、炎症または関節腔への出血を起こすことなく滑液のヒアルロナンの大きさが増加したそうです。

筋肉内への注射で、痛みが緩和、また歩行の恐怖に対する効果がプラセボ(偽薬)より良く、歩行、階段の上り下りの痛みが軽減したとのこと。
関節内PPS注射を受けた患者さんは、高い分子量のヒアルロナンのために粘弾性 (潤滑特性)が良好な滑液をしていたそうです。

ペントサンポリ硫酸塩の副作用

主に下痢 、 胸やけ 、胃の痛みなどの胃腸の不調といった様々な副作用が報告されているそうです。
また、脱毛、頭痛、発疹、不眠症も報告されているとのこと。

クオリティーオブライフと笑顔が取り戻せるかも

人への効果的な実用化までは、まだ時間と労力がかかりそうです。
ですが、もしこのポリ硫酸ペントサンナトリウムの注射や薬が現実の物となれば、暗闇の中にさす一筋の光となるのは確かです。

世界中の患者さんのクオリティーオブライフ、そして笑顔が再び取り戻せる日が来るかもしれません。
大きな期待を込めて応援したいですね。

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