膝痛のある高齢者にもできるロコモ体操
ロコモ予防のために、筋肉や関節を鍛える必要があるというのは、他の記事に書いたとおりですが…。
具体的に何をしたらいいの?
というのが気になるところですね。
運動器官ですから、当然「運動をする」のが一番いいわけです。
膝などに痛みがなければウォーキングなどの運動を続けるのが良いでしょう。
ラジオ体操などのストレッチも体の柔軟性を維持・向上させるのに非常に効果があるのでおすすめです。
最近では、公民館でも自治会などによって、ロコモ予防の体操などが開催されていることも多いですね。
しかし、関節に痛みがあって膝が思うように曲がらなかったり、筋力が減って負荷をかけるのが辛かったり…。
「痛みがあって運動をするのが辛い」という方もいらっしゃいます。
高齢者の方ですと、そういった症状が出ている方も多いかと思います。
そこで、この記事では自宅で簡単にできる「ロコモ体操」を紹介します。
「ロコトレ」「転倒予防体操」とも呼ばれていますね。
ロコモの予防というよりは、ロコモの症状が出たあとの改善のための軽めの体操です。
膝の痛みを感じている方や高齢者の方に向けたものですので、少しずつできる範囲から始めてみてください。
ただし、関節に痛みが出ている場合は、必ず医師と相談してから行ってくださいね!
目次
ロコモ体操を始めるときの注意
ロコモ体操を行うということは、膝痛などの何らかの運動器官の疾患があることが多いと思います。
注意としては、絶対に無理をしないということです。
症状別に段階を分けて説明していきますが、個人差もありますので自身の体のことをよく考えてから行うようにしてください。
特に筋力が著しく低下している状態で負荷の大きな運動を行うと、必要以上に関節や椎間板に負担がかかります。
そうなってしまっては元も子もありません。
病院にかかっている方は、必ず医師に相談してから行ってください。
運動器官の疾患だけでなく心臓や循環器の疾患を抱えている方も、事前に医師に相談するようにしましょう。
ロコモの大きな原因は『転倒』
ロコモティブシンドロームになる大きなきっかけのひとつが転倒です。
転倒して骨折などをすると、一時的に運動(日常生活や歩行なども含む)ができなくなります。
すると、運動器官を使わなくなることで、運動機能がどんどん低下していきます。
運動機能が低下すると、ますます運動しなくなり…という悪循環になりますね。
最悪の場合、さらに転倒を引き起こして…ということにもなりかねません。
ロコモの天敵は転倒なのです。
転倒しないためにはバランス感覚・筋力・柔軟性が大切
では、転倒のリスクを減らすためにはどうしたらいいのか?ということになります。
事故などの突発的なものを除けば、転倒の主な原因は運動機能の低下です。
もう少し具体的に言うと、バランス感覚・筋力・柔軟性の低下が転倒の原因です。
これらが密接に関係して、体が倒れないように支えています。
たとえば…。
階段などを下りるときに、片足で十分に体を支えるだけの筋力がなければ前に倒れてしまいます。
つまづいたときに、柔軟性がなければ体勢をたてなおすことができません。
ですから、バランス感覚・筋力・柔軟性を養って転倒を防止することが、ロコモ体操・ロコトレの目的です。
また、転倒を防止するだけでなく、歩行速度や荷物の持ち運びなどにも影響があります。
ロコモ体操1 バランス感覚を養う「片足立ち」
片足立ちは想像以上に難しいものです。
絶妙なバランス感覚と筋力がなければ実はできないんですよね。
人間は歩くときに連続して片足立ちを行っています。
つまり、歩くという動作は無意識のうちに、絶妙なバランス感覚で倒れないように重心をコントロールしているのです。
片足立ちは一歩間違えると転倒に繋がる危険な運動でもありますので、症状に合わせて可能な範囲で行ってください。
ロコモ体操1 片足立ち
- 片足を床から少し浮かせます。(膝を軽く曲げるイメージ)
- そのまま背筋を伸ばして、片足で1分間立ちます。
- 反対の足でも同じく1分間立ちます。(両足で1セット)
- 1日に3セットを目安に行います。
- 足腰の衰えはあるが、1人で歩行できる方
- 杖や手押し車を使って、1人で歩行できる方
- 杖などを使って、室内を移動できる方
テーブルや安定した椅子など、転倒しそうになったときに掴むことができるものの傍で行ってください。
テーブルや安定した椅子の背などに片手を軽く置いて行います。
手に体重を載せるというよりは、あくまでもバランスを取る程度です。
必ず、付き添いの人がいる状態で行ってください。
テーブルや安定した椅子の背などに両手を置き、体を安定させます。
片足立ちでも安定してきたら、少しずつ手の力を緩めていきます。
必ず、付き添いの人がいる状態で行ってください。
ロコモ体操2 筋力を鍛える「スクワット」
転倒せずに自分で歩くためには、下半身の筋力が必要です。
下半身の筋肉を鍛えるのに最適なロコトレがスクワットです。
スクワットは、かなり筋肉を使うのと同時に、やり方を誤ると椎間板や膝関節にも大きな負担がかかります。
なるべく負担をかけることのないように、軽めのところから行っていきます。
ロコモ体操2 スクワット
- 足腰の衰えはあるが、1人で歩行できる方
- 杖や手押し車を使って、1人で歩行できる方
- 杖などを使って、室内を移動できる方
- 移動はできないが、座ることができる方
肩幅よりやや広めに足を広げて立ち、椅子に座るようなイメージでお尻を下げていきます。
膝を90度以上曲げる必要はありませんが、膝がつま先よりも前に出ないようにします。
その後、そのまま立ち上がって1回とします。
10秒~かけてゆっくり行うのがポイントですね。
これを5回繰り返して、1セットとします。
1日に3セットを目安に行います。
いざというときのために掴まれるものや、転べる場所(ソファなどの柔らかいもの)の近くで行います。
尻餅をつくと危険なので後ろに椅子を置いておきますが、実際には座りません。
座る直前で止まる感じです。
また、安全のためテーブルに手をついて行います。
ちょうど食卓などから立ち上がったときのような姿ですね。
これで上記のようにスクワットを行います。
慣れてきたらテーブルにつく手を弱めていきます。
必ず、付き添いの人がいる状態で行ってください。
この場合は、椅子に座った状態から始めます。
前のテーブルに手をついた状態でゆっくり立ち上がります。
その後、ゆっくり座ります。
1日に3セットを目安に行います。
必ず、付き添いの人がいる状態で行ってください。
こちらもテーブルに手をついて座った状態で始めます。
ゆっくりと立ち上がるイメージで、体を前にかがめます。
最初はお尻を浮かせる必要もありません。
下半身の筋力がついてくるとお尻を浮かせることができ、立ち上がることができるようになります。
1日に3セットを目安に行います。
必ず、付き添いの人がいる状態で行ってください。