ロコモティブシンドロームとは膝痛からも始まる要介護リスク

ロコモ_トップロコモティブシンドロームって言葉、聞いたことありますか?
または、ロコモティブ症候群・ロコモシンドローム・ロコモ症候群・ロコモなどとも呼ばれています。
私は、今回調べるまで、ぜんぜん知りませんでした。

直訳すると
ロコモティブ=運動の
シンドローム=症候群

です。


簡単に説明すると、ロコモティブシンドロームとは

関節・筋肉・神経などの運動機能が弱まって、「要介護状態になっている」もしくは「要介護のリスクが高くなっている」状態

のことを言います。

どういうことかって言うと・・・例えば私の祖母の例で説明しますね。
私の祖母は、元々新潟の農家の生まれで、かなり足腰が丈夫な方でした。
ところが、70歳の頃、デパートで転んだんですね。
ただ転んだだけです。
でも、その時に左肩を打撲して、その痛みがしばらく残りました。
そして、その時を境に外出の頻度が減りました。

その頃、私は祖母とは離れて暮していたのですが、数年たった時に、母に手を引かれている姿を見て「えっ?」って思いました。
あっという間に、足腰が弱っていたのです。
ひざの関節が痛む話、中々外出が厳しくなっている話などを聞きました。

それからしばらく経って、同じマンションで暮すことになりました。
しかし、ある日マンションのエントランスで転倒し、病院から勧められて介護認定を受けました。

こんな風に、関節が痛んだり、外出しないことで筋力が弱くなったり、結果転倒したり・・・といった感じで介護認定を受けている場合、もしくは介護認定を受けていなくとも、そのリスクが高くなっている状態がロコモティブシンドローム(症候群)になります。

なぜ今、「ロコモティブシンドローム(症候群)」なのか?

ロコモ痛み_痛みが出る前にじゃあ、なんで「ロコモ」なんていう言葉が提唱されて、注目を集めるのかって言うと、現在の日本が超高齢社会になっていることと関係があります。

以前、大河ドラマで黒田官兵衛やっていましたが、彼が生きていたころ・・・戦国時代とかって「人生五十年」なんて言っていた時代でしたし、明治大正くらいまでは平均寿命って40歳にも満たなかったんです。
昭和時代になっても、戦前までは平均寿命は50歳前後だったし、1965年の統計でも平均寿命はまだ70歳でした。
それが、いまや日本人の平均寿命は84歳(女子87歳、男子80歳)、メッチャ長寿国になったわけです。

私は、これって喜ばしいことだって思います。自分の祖母にはいつまでも元気に生きていて欲しいですしね。
なんだかマスコミは「高齢社会」が悪いことのように問題点ばっかり言いますけど、もともと日本は長寿国目指していたはずですよ。

でもですね、コレと同時に「健康寿命」っていうのも覚えておかないとなりません。
健康寿命って何かというと、「自立した生活ができる期間」のことです。

日本人の健康寿命は、男子70歳、女子73歳だそうです。
・・・ってことは、自立した生活ができる期間が終わって、男性は10年、女性は14年くらいの人生が残るわけで、この期間がどんな風に過ごせるか?楽しく暮せるか?ってメッチャ大切じゃないかって思うわけです。

ロコモの話に戻ると、この考え方が注目を集めているのは、健康寿命が終わった後の十数年を幸せに楽しく生きることができるか?っていうことに直結するからです。
運動機能がしっかりしていれば、介護のリスクが減るし、介護の必要な期間を短くすることもできますからね。

予備軍も含めるとロコモ患者はなんと4700万人もいる

ロコモティブシンドローム(ロコモ症候群)というのは、日本整形外科学会が2007年に発表した概念です。

日本人の平均寿命が延びて、健康寿命が終わった後の人生が長くなってきたため、QOL(Quality of life:人生の質)の大切さを高齢社会が抱える問題として認識してもらうために発表したものですね。

実際に運動器官の疾患によって自分で立ったり歩けなくなったりして、要介護の状態になっているのがロコモティブシンドロームです。
今はそこまでの症状でなくとも、将来的にロコモティブシンドロームになる可能性がある状態をロコモ予備軍と呼んでいます

ロコモ_膝痛は40代からケア2009年に東大の研究チームが調査・研究したところ、ロコモ予備軍も含めるとロコモティブシンドロームの人はなんと4700万人もいるそうで、40歳以上の男性の63%、女性の67%になるんだとか。
つまり、40歳以上の男性の63%、女性の67%が、運動機能の衰えが原因で、介護を受けているもしくは将来介護の危険があるということになります。

これ、ものすごい数ですよ。本当に気をつけておかないとならないですね。

運動機能の低下が原因で介護を受ける人は20%以上

介護認定を受けた人のうち、実際にロコモティブ症候群に分類される人たちってどのくらいいるのでしょうか。

平成22年度の厚生労働省の調査に詳しいデータが載っていたんで記載してみます。

脳血管疾患
(脳卒中)
心疾患
(心臓病)
関節疾患 認知症 骨折・
転倒
高齢による
衰弱
その他
総数 21.5 3.9 10.9 15.3 10.2 13.7 24.5
男性 32.9 4.5 4.3 10.9 7 10.5 29.9
女性 15.9 3.7 14.1 17.5 11.7 15.3 21.8

ロコモティブシンドロームを考えるにあって、この表で注目しないとならないのは、関節疾患と骨折・転倒です。

関節疾患は関節が痛くなることですが・・・主に膝と腰ですね。
この部分の関節に痛みを覚えることで寝たきりになったり、外に出なくなった結果、足腰が弱くなったりするケースはとても多いです。

骨折・転倒は、文字通りの内容です。
高齢になると骨密度が急激に減ってきて、最悪の場合骨粗しょう症などになります。
そのため骨折しやすくなりますし、高齢になっているため、骨が再生されて元に戻るということが、中々難しくなります。
また、転倒は最も怖くて、転倒で寝たきりになる高齢者の話は、私も身近でよく聞きます。
外傷もさることながら、精神的ダメージが大きくて、中々外に出なくなるケースも多いので、注意が必要ですね。

そんなことも踏まえて、改めて表を見てみると、
男性の場合、脳血管疾患(32.9%)と認知症(10.9%)が多いですが、ロコモティブシンドロームに含まれる関節疾患・骨折転倒は合わせて17.9%もあります。
女性の場合、認知症(17.5%)、脳血管疾患(15.9%)の順に多いものの、関節疾患・骨折転倒は合わせて25.8%(全体の1/4以上)もあります。

なぜ女性の方が、関節疾患・骨折転倒の割合が多いのかというと、女性は男性よりも筋力が弱いことに原因があります。
筋力が弱いために関節に負担がかかりやすいし、関節の動きが弱くなるから、運動不足になり骨が弱くなってしまうということが大きな理由のようですね。

いずれにしても、ロコモティブシンドロームは気をつけないとならないってことが良くわかるわけですね。

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