ロコモ予防のための筋力維持の方法
ロコモティブシンドロームの予防のためには、まずは関節のケアが大切と書きましたが、関節がスムーズに動いてくれていれば、筋力の維持は絶対にやった方が良いです。
なぜなら、筋力がなくなると、関節への負担がとても大きくなるからです。
特に膝痛には注意が必要ですよ。
歩行する時、人間は体重を筋肉で支えています。
でも、その筋肉が衰えると、体重を支える力が弱くなってしまいます。
体重を支える力が弱くなってしまうとどうなってしまうんでしょうか?
人間の歩行は「動歩行」と呼ばれていて、体重を前にかけて体を倒しながら前に進んでいきます。
体を倒して歩くってことは、その体が倒れるのを足で支えているわけですね。
片足を踏み出しながら、前に体重をかけて体を倒す。
そして、倒れる前にその踏み出した足を着地させて、体を支えるわけです。
その足を着地させたときに、関節にかかる衝撃が大きくなるわけです。
筋力が強ければ関節にかかる衝撃を和らげることができるんですが、筋力が弱いと関節にかかる衝撃が大きくなっていきますよね。
そうなると、関節への負荷が大きくなるので、軟骨の状態が悪化しかねないわけです。
一般に、どんなふうに筋力低下していくのか?
サルコペニア(筋肉減少症)って知っていますか?私も自分で調べるまでは全く聞いたことがなかったのですが、サルコべニアって、30代から始まる筋力の低下のことで、これは加齢によっておこるので避けられないそうです。
ただ、問題なのは、運動しないことで、それ以上のペースで筋力が落ちる人が多いってことですね。
私自身も、まさにこのパターンで、30過ぎると仕事も忙しくなってくるので、運動とは無縁な生活になってしまいました。
結果として、娘の保育園の運動会で、ちょっと走っただけで体がバラバラになりそうになったのを覚えています(汗)。
そして、このサルコべニアなんですが、下半身は上半身よりも筋肉量が多いので老化の進みも速いのです。
特に太もも前面の筋肉(大腿四頭筋とか腸腰筋とか言われるところ)は、老化が早いって言われていますね。
ちなみに、この太もも前面の筋肉って、足を振り上げる・腰椎を支えるのに使われれています。
さっきの写真もう一度見てみましょう。
やっぱり、太もも前面の筋肉は、しっかりと使われていますね。
だから、ここが弱ると、膝・腰が痛み、階段の上り下りがつらくなるんです。
さらにこの筋肉、「赤筋」と言って、基礎代謝がさかんな筋肉なんで、ここが弱ることで太りやすくなり、体重コントロールが難しくなってきます。
となると、体重が増えて関節に負荷をかけてしまいます。
では、筋力低下に歯止めをかけるにはどうしたら良いか
さて、それなら筋肉を鍛えないといけないってことになります。
「じゃあ、ジムにでも通って、マッチョな肉体を目指すか!」・・・っていうのはNG。
ここで大切なのは筋トレではないです。
大事なのは「有酸素運動」・・・つまり軽い負荷で長時間運動することの方なんです。
ウォーキングなんかもその一つですが、そういった「わざわざ」やるスポーツではなくて、
- 日常生活で歩く
- 家事をする
っていうことで、実はある程度の有酸素運動は出来ているんです。
なので、まずは自転車・車・電車などを使わないでなるべく歩くこととか、家事をして体を動かすことを心がけましょう。
さて、ここでなぜ有酸素運動が必要なのかってことについて少し説明します。
よく、病院とか、学校の保健室なんかに、人間の筋肉の解説図みたいなの貼っていませんか?で、あれ、筋肉が赤い色と白い色に塗り分けられていませんでしたか?
実は筋肉には白筋と赤筋という2種類の筋肉があります。
白筋っていうのは瞬発力を出すための筋肉。
重いものを持ち上げたり、スポーツで強い力を瞬間的に出すときに使われるものです。
一方、赤筋というのは持久力を担当する筋肉で、日常生活で使われる筋肉って考えてもらっても良いと思います。
赤筋はパワーはでないけれど長時間働く筋肉で、基礎代謝がさかんに行われるんです。
ロコモティブシンドロームの予防をするわけですから、対象となるのは、日常生活で使われている赤筋の方です。
白筋よりも赤筋を鍛えないとなりませんね。
この赤筋を鍛えられるのは、長時間軽い負荷をかけていく有酸素運動になる・・・というわけなんです。